黒猫は妖しい笑みを浮かべた。

「4つの丸は8:00の事。3つの丸は9:00の事。4つの丸が3つに変わる時、それは8時から9時に変わる事。残念だったわね」

今度は黒猫の顔に笑みは無い。

「僕が知りたいのはそれだけじゃありません。何故天宮さんは人の命までも奪って宝石を盗むんですか!?」

「へぇー、まだ“天宮さん”なんて呼んでくれるんだ」

「答えてください!」

少しの沈黙の後、黒猫は口を開く。

「もっと厖大な物を手に入れる為ょ。後はあの世で見てなさい」

勢い良く黒猫は伊井田に向かって走り出す。
そして黒猫はナイフを振り上げ、伊井田目掛けて振り下ろした。
伊井田は再び死を覚悟し、目を瞑る。

パシッと何かを掴む音がして、伊井田は目を開く。
ナイフは伊井田の額すれすれの所で停止していた。
誰かが黒猫の手首を掴んで助けてくれたのだ。
黒猫は目を見開いて状況を掴めていない様だ。

「いい加減にしろ」

その声に黒猫は反射的に振り返る。

「和彦、、、」

伊井田を助けてくれたのは徳井和彦だった。

「必要以上に血を流すな」

その言葉を聞いた黒猫は徳井の手を振り払い、体ごと徳井に向けた。