翌日。

「何故黒猫は三瀬が部下だと教えたのかしら?」

天宮は首を傾げる。

「、、、何を考えているか解りません」

伊井田は左手で頭をかく。
二人は疑問を抱きながら、三瀬の居る刑務所へ踏み込んだ。


事前に連絡をしていたので、三瀬は静かな取調室で椅子に座って待っていた。

「何しに来たんだ?」

会うなり睨み付け、低い声で言った。

「用があるから来たの」

天宮は平然としている。
そしてこう続けた。

「貴方本当に仕事上のトラブルで中内彰さんを殺したの?」

三瀬は鼻で笑った。

「そう言ってんじゃん。馬鹿か?」

そう暴言を吐いた。
今度は伊井田が、

「誰かに雇われて殺害したのではありませんか?」

と、質問した。

「トラブルだって言ってんだろ」

「貴方は誰かとグルで、犯行に及んだのでは?」

「トラブルだっつってんだろ」

三瀬は同じ事を繰り返す。
二度目の言い方は明らかに腹を立てている。

出来れば三瀬の口から“黒猫”の名を聞きたかったが、どうやら無理なようだ。
そして伊井田は静かに口を開く。

「貴方は“黒猫”というのをご存知ですよね?」