天宮、伊井田、徳井、杉本は一度外に出た。
外には刑事と県警。
そして大勢の野次馬が何やら騒いでいる。
彼らの目線を辿ると、それらは天宮達の頭上を見上げていた。
自然と天宮達も上を向く。
、、、だがそこには何も無く、相変わらず曇り空が広がっていた。
今度は美術館から少し離れた所から空を見上げた。

「っ!!」

4人は目を見開いて言葉が出ない。
美術館の上には満月が昇っていた。
、、、イヤ。
それは満月に見えるだけでライトアップの際に地上からのライトが空に丸く映っている物だった。
昨夜は雲ひとつ無い状態で見えていなかったのだ。
黒猫が言っていた『闇に丸く光り輝く』とはライトが雲に反射した物で、これは曇り空でなければ完成しない『光の満月』であった。

「やられたっ!!」

何処からか西野課長の声がした。
まんまと黒猫の罠にハマってしまったのだ。