その数多く存在するガラス職人の一の子供である俺は、ただ小高い所からそれを見下ろしていた。



多くの人がそれを求め、そこは盛大な賑やかさを催す。
それこそ、祭のように。


「……こんな所に、よくご苦労様かな」


それを見ながら、俺は呟く。



本当に、ご苦労様だ。

あの場所には俺の父親が営む、店兼ガラス工房も含まれてる訳で。
だけどその建物は店であり、工房であり、住む家じゃない。
一介のガラス職人の家族の家は、どちらかと言えば離れた場所にあり、そこが日常生活を送る所。


俺達家族が住み、生活する家。





「………」

父親の、店兼ガラス工房がある場所、そこから俺は目を逸らす。


――本当ならば、そこにいなきゃならないけれど。