「白いお馬さんだ。真っ白な」 「おうまさん?」 なんでわかるの? と、幼い少年は不思議そうに、父親を見上げる。 「お馬さんの、爪の音がしたからだよ」 その口元に笑みを浮かべて、父親の唇はその幼い少年の名前を続けた。 そして白い影は馬だと言った、幼い少年の父親は去って行った方向へと視線を向けた。 「――…にしても」