「――大丈夫か?」

「う、うんっ。へーきっ」


父親の心配する声を聞いて、まだ幼い少年はコクコクと何度も首を振る。


そして不思議、といわんばかりに表情に表して、ほーっと息を吐いた。


「さっきのしゅごかったねー。しゅごいかぜー」


風、と勘違いしているらしい自分の息子を、その父親は苦く笑った。


「あれは風じゃないぞ」


「えっ?」


少年は思わず首を傾げた。


「んじゃあ、なぁに?」