*** 「………」 肩にかつがれ、歩き出してから。 暴れていたアリネは諦めたのか、すっかりおとなしくされるがままだった。 「!」 だけど気付くんだ。 彼女から感じる、いつも以上に熱い温もりを。 熱くなってる耳を。 頬を。 「…………」 ぎゅっ。 首元を細い腕で抱きしめて、小刻みに震える、小さなカラダを。 「…シ…オン」 切なく、俺の名を呼ぶその声を。