「なんか怪しいから
行かない」
「まあそう言わずに!」
加藤は遠足に行くことを
楽しみに語る
小学生のような笑顔で
答える。
楽しい時間はすぐに
過ぎてしまう。
時間を気にしなければ
しないほど、
それをいいことに
誰かが勝手に
時計の針を
進めているみたいに。
「もうそろそろ帰るか」
気がつくと
2人とも4杯ずつ
ZIMAと
ヒューガルデンホワイトを
空けていた。
「すいませんお会計」
と店長兼店員を呼ぶと、
「ここは約束どおり
自分が払います!」
と加藤が財布を慌てて
出しながら言った。
「おまえには借りは
つくりたくないから
いらない」
と言って、急に呼び出された
諭吉をはねのける。
「じゃあ次は
絶対私が払いますからね!」
店を出ようと
たばこの火を消してる
自分に笑みに似た
訴えを送る加藤。
