「今日こそは椎根さんに
お礼を込めておごらせて
もらいますんで!
覚悟しておいてくださいね!」
一緒に運ばれてきた
たたききゅうりを
口に運びながら、
「まあ、本番前に
あれだけ致命的な
バグを出してくれたから
あたりまえだけどね」
と答えると
「それは...別にして...」
残念そうに肩をおとす加藤。
こうやってまた
明日からまた水槽に
戻っていく...
というより
戻るしかなかった。
生きるためには。
そして毎日が
容赦なく繰り返していく。
自分がどんなに
立ち止まっていたい!
と叫び、訴えたとしても
時間は進んでしまう。
昔はこんなに早く
日々が過ぎるなんて
夢にも思っていなかった。
後ろを振り返ると
5年前の自分が
目の前にいるようで
しかたがなかった。
「そういえば、
今日は椎根さんを
連れて行きたいとこが
あるんですよ」
