いつもと同じ
イームズの席で、
同じ注文。
目に見えない
何かが煙とともに
開放されていく。
「一時はどうなることかと
思ったけど、どうにか
本番乗り越えられたな」
「ほんと椎根さんが
フォローしてくれた
おかげですよ」
上っていく煙を
見つめながら、
加藤が笑みを浮かべて
答える。
お世辞なのは分かっていても
なんだか今日は
悪い気がしなかった。
一人しかいないので、
店長としか呼びようがない
店員が
レモンが刺さったZIMAと
ヒューガルデンホワイトの瓶を
運んできた。
こんなささいな情景が
昔自分が思い描いていた
大人に
近づけてくれるような気がして
嬉しくなる。
