プロジェクターには

観客がだれもいない

映画が流れていた。



よくある薄暗い

ブラックライトに

照らされた

明かりではなく


遠慮しながら

放っている

白熱灯の温かみ。



ここにくると

普段体を締めつけている

どこかのねじが

少し緩んでしまう。



「とりあえず、

ZIMAと

ヒューガルデンホワイト」


「あと、たたききゅうりと

焼きカレーもお願いします」

と加藤が付け加える。


そしていつもどおり

2人でたばこに火をつける。



体に溜まった悪い

何かを吐き出すように

煙を天井に上らせる。