「え、何…朱音チャン?」


なんだかとても言いにくそう。


『美希、落ち着いてよーく聞きなさい。』

「うん…。」

『何があったかは分からない。
勇士には考えがあると思うし…。』

「だから何!」


あたしは焦らされるのが嫌いデス。


『…勇士が、美希との婚約を破棄するって…。』


…婚約の、破棄…。


「なんで…なんで!?」


あたし、勇士に捨てられちゃうの?


『分からないってば!!』

「…。」

『勇士から、伝言。』

「うん。」

『待ってろ。』


あたしはその言葉を聞いて床に泣き崩れた。


「美希!? 美希!!」


皆の声がして


「もしもし、社長サン?」


史也が話している声がした。


なんでいつも”待ってろ”?

あたしってそんなに頼りないの?

婚約破棄って…あたし、捨てられたの?

何?

分かんなくなっちゃうよ。

勇士。


”待ってろ”って何…?


「美希…今日は寝な?」


って櫂が声をかけてくれる。