「…いい。思い出してくれたなら、それで満足。」


そう言って、勇士はあたしを抱き締めた。


「痛い…。」

「知らねぇ。」


痛くていい。

ちゃんと、繋ぎとめておいて。


もう2度と、あたしが勇士を忘れたりしないように。


ずっと隣にいられるように。


「勇士ッ…。」


バカで…忘れててゴメン。


「バカ美希…何忘れてんだよ。」


勇士はあたしの顔を両手で包み込むようにしながら言った。


「ゴメン。でもちゃんと思い出したでしょ??」


涙が頬を伝うけど、そんなの気にしない。

だってこれは、嬉し涙だから。


「遅ぇよ、バカ野郎…。」

「バカだもん。」


2人で、見つめ合ってフッと笑う。


「勇士もバカだよ??」

「…そうだな。」

「変なのー。」


大好き、勇士。

あたし、思い出せて、よかった。


愛の力ってやつ??


愛って、すごいね…??