『え!?』

『急遽決まったものですが…ぜひよろしくお願いします。』


なんて言ってた。


「ほらね!?」

「うん…。」


ダメだ。


「ねぇ、櫂。」

「ん??」

「あたしたちが知り合ったのってさ、高1だよね??」

「うん、そうだよ??」

「今さ、高3…だよね??」

「うん。って…美希?? イカれちゃったの??」

「…うん。」


出逢いは、覚えてるの。


ただ


「あはは、あたし、バカ…だから…。」

「何言ってんの!! 学年3本の指キープしときながら!!」


あたしは額に手を当てて、目を閉じる。


「ダメだ、あたし…。」


涙が零れそうになる。


大事な物は、しっかり掴んでおかなきゃ。

じゃなきゃ…


「分かんないよぉ…っ。」

「…美、希…??」


大事な物は、指の間からスルスルと、零れ落ちちゃうんだから…。


「っ…。」


出逢いは今も、昨日のように思いだせるのに…


途中経過、大事な物…全部…無くしちゃった…。


「…全部…忘れちゃったの??」

「っ…ひっ…ぅっ…。」


あたしはどうやって、1年を終え、2年に進級して皆と日々を送り、

どうやって、ここまできたんだろう…。