俺は驚いた。


粗茶ですが。


そう言って嫌がらせのように湯のみに突っ込まれていた指にではない。


でてきた物に驚いた。

そう、でてきたものが、果たして茶と呼べるものなのか。

否、違う。

俺は、いや、人類はこんなものを茶とは呼ばない。絶対に。


「粗茶ですらねぇぇぇぇえええ!!!!」


「失礼な。」


「いや、お前がな!?こんなもんを堂々と客に出すお前が失礼だろ!!」


こんな…こんな、その辺の雑草引っこ抜いてお湯にぶち込んだような飲み物?ですらないこれを!!俺は断じてお茶とはみとめねぇ!!


し・か・も


「お前が飲んでるそれはなんだ!?それだろ!それがお茶だろ!」


「それが何か」


「それをだせぇぇぇぇええ!!!」


息を切らしながら抗議した俺をかわらずしらっとした目でみて

「うるさいぞ…、田中さん恐いって言ってるだろう。せっかく特別に自家製の茶を出したのに…。」


静かに語るそいつの目には表情は変わらなかったもののかすかに涙が滲んで見えた。


え…え?俺、泣かせたか?もしかして泣かせたのか?

「ちょ、ちょ…え?杜若、大丈夫か、泣くな、な?悪かった。ほほほ、ほら、まぁ飲めば以外に…」


「あー…くそ。目にまつ毛入った。いたた…。」



ブッッ!!!


俺は謎の液体を噴出した。