春と言えど、時間が夕方に近づけば少々肌寒い。
少し涼しくなった風が髪を揺らした。
今日も変わらず何食わぬ顔で交信を続けるこの宇宙人(仮)こと杜若綾麻は相変わらずの態度のでかさだった。
「お前なぁ、もう少し慎み深くなれないのか。」
「あ、あ、あ、…ちょっと今話しかけないでくれるか。」
いいところなんだ。
と、これまた相も変わらずに俺に背を向けたまま交信を続けるこいつに若干…どころではない苛立ちを覚えた。
「ふぅ、…悪かったな、相手してやれなくて。」
暫くして振り返ったそいつはなんの悪びれもなく小脇においていた牛乳パックを呷った。
「何様だお前。」
「王女様だが、なにか文句あるか。」
「妄想も大概にしないと痛々しいぞ。」
「妄想?君は馬鹿か」
何だその顔腹立つ
「私は本当に星では王女だったんだ。本来youのような無礼者なんぞす巻きにして宇宙の藻屑にしてやるところだ。」
youって…
「お前が俺に無礼者とか言うか。あとさらっと怖いこと言うな」
本当にやってそうだから。
「失礼な。冗談だ。」
「…」
「なんだその目は。私は生まれてこのかた殺生はしたことがない。」
「嘘つけお前!この前血を吸おうとした蚊、叩き落として足で磨り潰してたろ。知ってんだぞ。」
「…なんのことだ。」
「なにとぼけてんだこのスットコドッコイ。」