「え?有名だよ。はっちーちゃん隠してないし。
多分あの男も知ってて声かけてんだと思うけど。」
はあ~~~
彼氏いるって知ってても声かけるって、ホントに好きなんだなあ。
好き過ぎて、もう彼氏いるとか関係ない!…ってこと?
私なんか全然彼氏いないのに、話しかけられたことなんか無いのに。
うわあ、言ってて悲し……。
でもやっぱり、可愛い子は違うんだなあ。
「予想! 福山雅治系?
てか希望!!そうであってほしい!!」
Aランチも終わりかけ。
「ブブ~ダサ男」
ええ~~~!?
てか げぇ~~~!!
嘘だ~~~私の理想が~~~
はっちーちゃんは話しかけようとしてる男にも気づかず、お盆に載った昼ご飯を持って、彼の横を通り過ぎた。
そしてこっちに向かってくる。
切り揃えられていないランダムな前髪が、ぴょこぴょこと揺れる。
うわ 近…!
「あ、すいません」
目の前の友達の後ろを、申し訳なさそうに通り抜ける。
声… 声…!!
透き通ってて、かつ強い感じ。
イメージしてたより、少し低い声。
か…っ 可愛い…!!

