ホテル<深海>

初めて写真であたしを指名した客。
まだ若い。
もしかしたらあたしより若い。
でもマニア。
おぞましい程マニア。
あたしが濡れるほどマニア。

両足首を縛られ
膝を抱える形にされたまま手首も縛られる。
両腕もきつく縛られ、そのまま両脚を固定されている
縄に結びつけられる。

膝抱え縛り。

あたしは完全に身動きを封じられた。
下半身より下に立たれると御主人様の姿さえ見えなくなる。

よく濡れた。

若い御主人様は、それを知っていて
あたしの視界から消えた。
そして性器の周りに蝋をたらし続けた。

あたしは叫ぶしかない。

少し動くと縄が肉に喰い込む。
ギリギリと喰い込む。

ノドが乾いた。

あたしはお願いして顔にビールをかけてもらう。
髪までビールで濡らしながらも
あたしの舌は一滴でも多くのビールを吸収しようと蠢いた。
まるで独立した生き物のように唇の周りを這う舌。
御主人様はきっとそれを見て興奮したのだ。
自分の性器をあたしの口に入れてきた。

その性器は昨日食べたばかりの
モッツァレラチーズの味がした。

同じ味。

柔らかさも同じ。

身動きのとれないあたしは小汚いホテルで
モッツァレラチーズの性器をしゃぶっている。

そう思うと笑いが込み上げてきた。



良い人生を送ってる。



素直にあたしはそう感じた。