店に戻るとM女の娘たちが3人出勤していた。
女王マオには客がついていた。

あたしは牧原に金を渡し、豹柄クッションの上に腰掛けた。
マオ以外の娘たちと言葉を交わしたことがない。
交わす必要もない。

ワイドショーがやっている。
政治家が死んだ。
そんなニュースが流れてる。

政治って何だろう?
あたしは思った。
この国の何を動かしているのだろう?

自民党しかしらない。

「ねぇ、オーナー」
あたしは仕切り板の端から顔を出し牧原に声をかけた。
「どうした?」


「政治って何?」


「ん?」

牧原は驚いている。

「おまえ、ソラ様とヤバイ薬でもやったのか?」
あたしは笑った。
「やってないよぉ・・ただ、ふと思ったんだ。政治ってどんな意味をもち、一体何を動かしているのかなって」
牧原はきつく見えがちの鋭い目つきを更に細めて唸った。


「国民をMと定義したSによる支配ってところかな」


「それが政治?」
「そう、それが政治」

そのとき電話が鳴った。
プルプル プルプル

「ありがとうございます、クラブeでございます」