マオは「ザリガニちゃん」のことを聞きたがった。
でも、説明する間もなく牧原があたしを呼んだ。

「607号室、ソラ様だ」

ソラ様とはクラブeの常連。
そしてあたしを必ず指名してくれる良いお人。
来店20回以上の会員は店に来る必要はない。
直接チェックインしたホテルから連絡できる。

マンションから歩いて5分のところにあるホテル。

格安のラブホテル<深海>

それにしても深海なんてよくそんな暗い名前をつけたものだ

あたしは合皮の大きなバックをかついで607号をノックする。
顔を出したソラ様は相変わらずやつれている。
株で損してヤバイ相手に金を借りた。
ソラ様はそう言って笑いながら、あたしを部屋に入れた。

もともと純白だったはずの壁紙はヤニで汚れている。

あたしはシャワーにも入れてもらえない。
ソラ様は奴隷の汗の匂いを好んだ。
私服のワンピースを着たまま後ろ手で縛られ
パンツを脱がされた。
まだ、濡れてもいないのにあたしが持参したローターが
膣の中に侵入してゆく。
ソラ様は、そのままスカートをめくり上げ尻を平手で叩き続けた。

あたしの脈が速くなる。

ソラ様もそれに気付く。

そしてまた叩く。
ピシャピシャと叩く。

ローターは安っぽい音で蠢きベッドは乾いた音でときたま軋む。


ピシャ


ピシャ


ピシャ


ピシャ


あたしは濡れる。
もう何度となくこの<深海>でソラ様に尻を叩かれいる。
その度にあたしは濡れ、尻にアザを作る。
血液の流動をリアルに感じる。
ドクンドクンと流れている。

悦び。



もっと叩いて。



切実にそう思う。