コンコン

軽く優しいノック音

コンコン

ベッドわきの時計に目をやる。

AM11時

コンコン

ノックは続く。

あたしはドアにそっと近づく。

ドアの向こうの人の気配。

感じる

感じる

コンコン

あたしはドアを開ける。

そこに立つ男。

何十年も会っていない気がした。

「どうしてここが判ったの?」

「予約を入れてみると、君はマカオだって言うじゃないか」

「このホテルをなぜ?」

「HOTEL Deep sea in Portugal…ポルトガルの深海、
深海…五反田のホテルの名は?」

「深海…」

「そう、君はここを無意識に選んでいたんだよ」

そしてソラ様は、部屋の中へ入ってきた。