しかも、今よく考えれば応接室には2人っきり。
何か分からない緊張が漂い、その反面すごく嬉しいと思っている自分がいる。

さっきから心臓がドキドキして止まらない。
こんなのおかしい。
だって、別に相手は…。

そう考えていると、李央が書類をまとめ出した。
きっと仕事が終わったのだろう。
でもこんな赤い顔を見せるわけにもいかず、じっと俯いておく。

すると、不思議そうに首をかしげた李央が隣へ座った。

「熱…ですか?」
心配そうに顔をのぞきこまれて思わず離れた。
「い、いや、違うから!熱じゃ…ねぇよ…。」

あぁ、恥ずかしい。
恥ずかしさでまた視界が煙ってきた。
そっと頬に手を当てて、熱を冷まそうとする。

李央の顔を見てみれば、嬉しそうに微笑んでいて。

「2人っきり…ですね。」
無邪気な笑顔でそう言われた。

………こんなの、反則だ…。

帰りたいと思っていた気持は消えて。
今はずっとこうしていたいと思った。

「あと少しだけ、付き合ってくれませんか?」

照れたように微笑んだ李央。
断れるはずもなく、俺は静かに頷いた。

おかしい、俺、今自分の気持ちが全然分かんねぇ…。
……意味不明…だ、ホントに…っ。