最悪だ。
制服はぴっちり着せられるし、
李央はますます不機嫌だし、
会長はずっと睨んでくるし。
本気で逃げ出したい…。

すると、ふいに会長が立ち上がり
「じゃあ俺そろそろ行くな。李央、頑張れ。」
ドアを開けて振り向きざまに優しく微笑んだ。

……さっきとは別人だな…。

「はい、今日中に終わるよう、頑張ります。」
そう言うと、李央も優しく微笑み返す。
そんなの当たり前のことなのに、
何故か胸がチクリとした感覚。

理由なんて、知りたくもないけど。

会長が出ていくと、少しだけ空気が和らいだ気がした。
会長には悪いけど…。と、一応心の中で謝っておく。

俺は早速ネクタイを取っていつも通りの格好に戻る。
会長の言葉が耳から離れないけど、
つまりそれは俺が荒れ続ければ、李央が見てくれるって訳で…。

って、え、今俺…。
何考えた??
見てくれるって…、何だよ、それ…。
俺、アホじゃん…。

顔がカっと熱くなるのが分かった。