「制服。」
「あへ?」
いきなり話しかけられて、俺は思わず気の抜けた返事をしてしまった。

「…俺がいるときぐらいちゃんと着ろよ。」
そう言うと立ち上がり、俺の目の前まで来る。
思わず後ずさりすると、制服を思いっきり掴まれた。

………ハッキリ言って不良より怖い。
思わず視界が煙り、自分が涙目になったのが分かった。

「……。」
無言で黙々と俺のボタンを留め始め、しまいにはどっから出したのか、
ネクタイまで付けられた。

「…何でここまでするんだよ?」
隼人…にだけ聞こえるように、耳元で言えば、
思いっきり睨まれた。

「李央の仕事増やしたくないからに決まってるだろ!」

んなもん知るか…。
と、いうのが率直な答えだった。
でも、さすがに会長…というか、その威厳が妙に怖くて。

「す、すみません…。」
気づけばそう答えていた。

「…別に分かればいい。」
そう冷たく答えると、隼人は元いた場所へ戻っていった。