楽しそうに笑う自分。
隣には小さな背中。
隣にいたのは、そう、彼。

夢の中で僕は彼のことを「蓮君」そう、呼んでいて。
自分は「李央」と名前で呼ばれていた。
下のほうに目線をやると、手を繋いでいた。
指を絡め合っていて。
…俗に言う、恋人繋ぎとか言うもの。

夢の中の僕等はまるで恋人同士のようだった。

そこまで考えてハッとする。
自分は、なんていう夢を見てるんだ。
僕は男で、彼も男だというのに。
そんな事を考えていても口は勝手に動くもので。

「あの、…蓮君って呼んでもいいですか?」
「…は?」
「…名前で、呼びたいんですけど…」

なんて、ふざけた事を口にしていた。
気持ち悪い、とにかく自分が気持ち悪い。
というかアホとしか思えない。

彼に視線を向けると何故か赤面している。
熱でも、あるのだろうか。

「…いい、よ…」
「へ?」
「…名前で、呼んでも。」

予想外の言葉に一瞬思考が停止する。

「ありがとう、ございます」

そう告げると「李央…って呼んでもいい?」と聞かれて。
即、「いいですよ」そう言っていた。