「おやおや…。」

困ったように笑うと、彼の細い手が僕の頭に置かれる。
少し触れられただけなのに、加速する鼓動。

そのまま、頭も撫でられて。
一気に頬に熱が集まる。
どうしよう、きっと、とういか絶対真っ赤だ。
分からない、本当に自分が分からない。
男に撫でられて、頬を染めるなんて。
気持ち悪い、はず。
というか馬鹿としか言いようが無い。

顔を見られたくなくて、彼の腹部に擦り寄る。

「ちょ、何して…!?」

彼の制止の声は、聞こえないふりをした。
寝ている、ふりをして。

とてつもなく恥ずかしいけど。
早くなったままの鼓動は、未だスピードを緩めてないけど。
今はただ。

彼との時間を、少しでも長く共有して居たかった。
願わくば、10分以上。

10分経って、彼が僕を起こさないことを願い。
制止の声を上げながらも未だ僕を撫でる優しい手の温もりに急に眠気が襲ってきて、僕は再び眠りの世界へ落ちた。