無論、そんな事はせずに寝転がる。

いきなりの事にだろうか。
ビクリと、彼の体が跳ねた。
抱きしめなくて、よかったです。
膝に寝ただけでも、こんなに過剰に反応する彼にイキナリ、それも同姓に抱きしめられるなんて気持ち悪いだけだろう。
そう考えると、胸が小さく痛んだ。

少しだけ首を振って、わけの分からない痛みを意識の外に飛ばす。
どうしてしまったのだろう。
本当に、僕はどうかしている。

「…10分経ったら、起こしてください」
「10分、だからな?」
「ええ、そういう約束でしょう?」

軽く笑って言うと、「そうだ、けど…」と何故か少し躊躇った様な返事が返ってくる。
僕何か、しましたっけ?

「…服装、直す気はありませんか?」

目を閉じて、彼に問う。

「無い。」

返って来たのは、即答で否定の言葉。
あまりにも早すぎて笑いがこみ上げる。