どれくらい、無言の時が流れたのだろう? 翼は肩に少しの重みを感じた。 横を見ると杏の頭が肩に乗っかっていた。 寝てしまったようだ。 翼はふっと笑って、杏を抱きしめた。 そしてそのまま後ろにゆっくりと倒れた。 背中にコンクリートの冷たさを感じたが気にならなかった。 ウインドブレイカーを脱ぎ杏にかけて、腕枕をしてやる。 涙で冷たくなった頬をマフラーで隠し、額にそっとキスをした。