君への距離~クリスマスの奇跡~

ヒュー ヒュー…

…ヒュー ヒュー




窓を揺らす風の音に杏は起こされた。


「…んぁぁああ-!!」


奇声とともに泣きはらして重たくなった瞼を開く。



「つ…ばさくん…」


杏は手を伸ばして翼を探す。

横で寝ていたはずの翼を…。




「あ…っれ?」


―いない



杏はまだわずかに翼のぬくもりが残るシーツをギュッと握りしめる。




『離れるのがこわい』


ただそれだけが言えなくて…



重い女だって、



束縛するなって、



信用してないのかって


あなたに思われたくなくて…