「杏ちゃ…ん」 夜があけた。 珍しく翼のほうが先に目を覚ます。 隣で眠っている杏に肩まで布団をかけてやる。 寒くてピンク色に染まった頬も、長いまつ毛も、華奢な身体も、綺麗で柔らかい肌も… そのすべてを昨夜、確かに自分のものにしたのに なぜだろう、翼の胸は不安に押し潰されてしまいそうだった。