― 「杏ってさ~、 どんなのが好みなんだ?」 「? トマトは嫌いだね~」 「おいおい、 そりゃまたあらゆる角度からものごとをとらえてくるヤツだな~!」 夕暮れ時のグランド、 誰もいないベンチでちんまりと、 ムードも色気もカケラもないヤツらが語らいあっていた。 「だ~か~ら~ 好きな男のタイプ!」 ケンイチの頬が少しだけ赤いのは、夕焼けのせいにして。