「あらあらあら、いらっしゃい!」
玄関にあがるとすぐパタパタとおばさんが出てきた。
小柄でいかにも人の良さそうな健二の母親。
「お久しぶりです。」
杏はそう言うと深々と頭を下げた。
杏とはケンイチの葬儀以来の再会だった。
「あらまあ、緊張なんかしないくていいけん!
遠かったでしょう?
よく来てくれたねぇ~!」
「すいません、早くに…」
翼もペコリと頭を下げた。
「あんらぁ~!
翼くん、また背伸びた?」
おばさんはまたニコニコ笑って2人を見ている。
「ほんとに美男美女のお似合いカップルだこと!
母ちゃんと父ちゃんの若いときにそっくりだよ!」
「嘘つけ!!」
みんな笑った。
2年前の暗い陰などまるで無かったみたいに。

