「翼先~輩!杏さ~ん!」 ドタドタという足音と共に聞き覚えのある声が2人に向けられた。 「おう、健次!」 「健ちゃ~ん!」 「どうぞどうぞ!あがってください!」 にぱっと笑った兄そっくりのサル顔に翼も杏も自然と笑顔になる。 「杏ちゃん、行こう! ケンイチもきっと会いたがってるよ!」 翼がぼーっとしている杏の手をひく。 健次はそれをニコニコ見ている。 「そだね」 新雪を踏みしめてゆっくり進む。 ふわり ふわり