君への距離~クリスマスの奇跡~









「ありがとね…








…サンタさん」


プープープー




「?」







翼は不思議そうな顔でケータイを見つめた。






一方リサは幸せそうに微笑んでいた。






―よく見かけてたんだ。





ちょっと憧れてたんだ。




大学の駐輪場、



翼くんの自転車の後ろで、


キラキラ笑う杏のこと。








「ただいまー」






「おかえり♪」







嬉しかったんだ。






例え、それが車が泥棒に盗まれたって理由でも。







思ってたより広いあなたの背中に、



12月の寒さにこじつけて触れられたことも。




「リサ姫の分も買ってきたよ!プリン!」




水島くんに変なあだ名で呼ばれることも、




なんだかあなたへの距離がどんどん近づいてきたようで、


「姫って照れちゃうな…」



「俺も照れちゃうー!!!」




「リョースケうっとうしいやろ?」







あなたはあたしに笑ってみせるから、






「そうね!」






「はは!言うやんー」



あたしはもっとあなたを好きになる。