―『距離なんて、ないよ』
いつかの彼の言葉が聞こえたような気がした。
君となら、
この先の未来を歩いていける、そう思うから。
「待ってる……ずーっと待ってるから!!」
ゆっくりと顔をあげた翼の目に杏の泣き顔が映る。
ポロポロと大粒の涙を零しながら、彼女は一生懸命の笑顔で言った。
「…がんばってきてね!
翼くんは1人じゃないから!
みんなついてるから…
シオも、
マサキも、
リョースケも、
アツシも、
カン吉のパパもママも、
ケンちゃんも…」
「うん…」
翼の頬を一筋の涙が伝う。
「距離なんて、ないからね」
そう言うと、杏はふわりと翼を抱きしめた。
ふわり、
ふわり、
真っ白な雪も2人を抱きしめた。
奇しくも、それは暖冬と騒がれるこの冬の初雪となって夜通し降り注いだ。

