「杏ちゃん!」
意を決したように翼は立ち上がった。
「え?あっ!はい!!」
杏もビクッとして立ち上がる。
2人は向き合って立っている形になり、照れたようにお互い小さく笑い合った。
「あのさ、
今日わざわざこんな遠くに来たのわさ…」
緊張した面もちの翼を杏は真っ直ぐ見つめる。
「えっと…
もうあと一週間もしないうちに、
僕は東京に行って、杏ちゃんは富山に帰るでしょ?」
「うん、あと6日だね」
―そっか、もうそんなにすぐにお別れが迫ってるんだ…。
「杏ちゃんは半年でまた大学に戻ってくるけど、僕は…」
―戻ってこない…
杏は突きつけられた現実を跳ね飛ばすように微笑んで見せた。
「うん、分かってるよ?」

