君への距離~クリスマスの奇跡~



「島根って、ケンちゃんブラザーズの地元だ!

初めて行く!」



高速に乗って4時間、未だに元気いっぱいの杏。



「そうだね!

ケンジから聞いたんだ、島根にスッゴい旅館あるって!」



「旅館?


わーい♪温泉あるかな?温泉!」



「あるある!」



「浴衣かなぁ?」



「浴衣じゃない?」




ますます元気になる杏を見て翼も嬉しそうに笑った。





「でもまだまだかかるからさ、

着くのは夕方になるし、朝も早かったし、
寝ててもいいよ?」




「翼くんのが早起きだったくせに!


それに寝ちゃうなんてもったいないよ!


翼くんが聞いてなくたってあたし一人でしゃべってるから!」


杏はそう言って笑った。




「ありがとう」




翼は少し照れたように微笑んだ。