ザザン…ザザン…
波の音だけがシオとリサを包んでいた。
「…中塩くん?」
沈黙を破ったのはリサだった。
「まだ杏が好きなんだね…」
「……うん。」
「じゃあ、あたしはラッキーだったのかも!」
思いがけないリサの言葉にシオは目を丸くする。
「え?」
「だって…、中塩くん、いろんな女の子に告白されてたのに全部断ってきたでしょ?
だけど、
あたしはOKもらえた!
その理由が、杏の友達だからとか…杏を忘れるためだったとしてもいいの!」
「リサちゃん…」
「杏にはなれないけど…
あたし、中塩くんが振り向いてくれるように頑張るから!」
「リサちゃん…リサちゃん、いい女やな」
シオは頭をかきながら照れたように言った。
「やだぁ―!さっき杏に泣かされて化粧ぐちゃぐちゃなのに、あんまり見ないで!」
リサは真っ赤になってシオを押しやる。
「どれどれ~♪」
シオはわざとリサの顔を覗き込む。
2人いっしょにこんな大きな声で笑ったのははじめてだった。

