苦虫と唐辛子を同時に噛み砕いた後、英語の単語を延々と聞かされているような鬱々真っ盛りの登校だった。
 それもそのハズ。
 昨日まで春休みという名目のおかげで自由でよかった起床時間が、今日になっていきなり制限され、あまつさえ早起きをしなければならなくなったのだ。
 そりゃ不二大和の歩く姿も、類人猿と化すのは仕様がない。


「……何だかなあ」


 大和は、制服の第二ボタンを片手で開けると、あちこちに咲き乱れている桜の花を見て、ため息をついた。
 その華やかさとは裏腹に、大和の心はげんなりしている。
 そう考えると、また更に鬱になって肩を落とした。