鳥の唄

春丘高校に来たのは、学校説明会に参加するためである。


先生からだけでなく、母からも一度でいいから行って来いって言われて、仕方なく訪れた。


ちなみに春丘高校の学校説明会は年に一回しかない。


つまり、一度でいいから行って来いって言った先生と母の発言は間違ってるんじゃないのか?という疑問を抱きつつ、門をくぐった。


その門の先には自分の抱いていた学校のイメージと正反対の情景が並んでいた。


校庭には部活を楽しそうにやってる生徒がいて、校内には部活勧誘のポスターばかりが並んでいる。


説明を受けるため通された教室で、適当に席に着けと言われた。


特に座りたい場所があったわけでもないので、一番近くの空いている席に座った。


席に着くと、隣の席の男から声をかけられた。


「お前はどこの学校からきたの?」


いきなりお前かよ…。


どんな奴だよと思って横を見るとそこには男でもカッコいいと思ってしまうくらいの人がいた。


ついついジロジロ見てしまっていたようだ。


男は顔をかしげてこっちを見返してきた。


「あ、俺は立花竜也。西中からきてんだけどな。」


そう自己紹介した竜也は笑顔でこっちを見てきた。


「僕は篠崎秋。松中から来たんだけど。」


竜也は「ふーん」といってこっちを見てきた。


「秋ってさ、モテんだろ?」


いきなり何を言い出すんだ。


竜也は相変わらず笑ってこっちを見ている。


なんか見つめられているとこっちまで照れてしまう。