鳥の唄

結局、懇談会では進学先を決めることが出来ずに、保留という形で家に帰された。


その日の夜から、母の態度が、家族全員が驚くくらいに変わった。


学校から帰ったらすぐに勉強しろと言われ、いつも一緒に部屋で遊んでいた妹の美咲は母によって部屋から去っていった。


美咲はまだ小学校4年生だった。


「嫌だぁ!お兄ちゃんと遊ぶんだぁ!」


泣き叫ぶ声を冷たい言葉で返す。


「秋は高校の受験があるの。あんたなんかに構ってる暇なんかないのよ?あんたは秋の邪魔をしたいの?」


止めてくれ。


そんなに僕に期待しないでくれよ。


ホントはほっといて欲しいんだから。


この願いは音にして伝えなかった。


だって、伝えたって今の母には伝わりそうもなかったから。


溢れてくる気持ちを押さえ込み、部屋に紅い光を注ぐ小さな窓から空を見上げた。


遠くに真っ黒な雲が見えた。


あぁ、つまらない。


勉強なんてやりたいときにやればいいんじゃないの?

そう思いながら、ベッドに横になって深い眠りについた。