「あのね…、っ……」

カラオケで、赤ちゃんのことを言おうとしても言葉が詰まって上手く話せない。


「あの、っ…あ………っ……に……」

「ひなの?どうした?」

「ひなの?」


みんなが心配してる…

みんなが…

言わなくちゃ。


「……あの、……!」

真理子が私の手を握ってくれて、ぎゅっと力をいれてくれててがんばれ、って言われてる気がした。


「……、私、………………赤ちゃん出来た…」



言えた。
やっと言えた。

ごめんね、赤ちゃん。



「………それで、ひなのはどうしたいの?」


「…赤ちゃんを、おろす」


ああ、言っちゃった。
今まで、散々喧嘩してきて敵も作ってきた。

だけど、人を殺すことはなかった。

ついに、一線越えてしまった。



ごめんなさい、赤ちゃん。
ごめんなさい、壱輝。