達樹は、教室で壱輝達と騒いでいた。

怒りがこみ上げる。

好きな子泣かしといて、あんたはなんでそんなヘラヘラ笑えるの?
その態度、本当にありえない。

握った拳が、怒りで震える。


「達樹、ちょっと来て」

「は?何だよ?いきなり」



殴りそうな拳を、必死で抑える。

深く深呼吸して落ち着く。


今、ここで殴っても意味はない。

我慢しろ。


「いいから」

「…ひなの、我慢しないで殴ってもいいんだぞ?」


壱輝の言葉で、抑えていた何かが一気に溢れだした。


力いっぱい、達樹の頬を殴った。

真理子の痛みが、少しでも達樹に伝わればいいな…