「ひなの、帰ろーぜ?」
ちょこっと、放課後の教室のドアから顔を出したのは風真先輩だった。
「風真先輩!?」
「あ、先約あった?」
付き合ってから、メールはしていたものの一緒に帰ったことはなかった。
帰りたいなぁ。
なんて思っても
自分から言えるはずもなく…
淡い期待を、胸に抱いて今日まで過ごしてきた。
そんなちっぽけな願いが、今叶おうとしている…
「あ、ああ、帰ります!帰れます!」
めちゃくちゃどもった私の頭を、くしゃくしゃと撫でてくれた。
「行こ?」
私と、風真先輩は手を繋ぎながら一緒に帰った。
これで1つ、私のちっぽけな夢が叶ったんだ。
あの頃は、幸せすぎてこれから起こることなんて予測も出来なかったんだ…
そして
私達が見られていることも。


