モモが話しかけると漸く俺の肩から重みが消えた。


『そうなんだ?珍しいね竹山が……………あっっ!』

『『……?』』


続けられる筈だったモモの言葉が途切れた。不思議に思った隼人と竹山がモモの目の先を追おうと後ろを振り返る。何人ものこの学校の生徒達がこっちを見つめてウズウズしている…正確に言うと…見つめているのはモモただ一人。


『…………あれは』


もうすっかり見慣れてしまった“モモに告白し隊(たい)”の人達だ。隼人と竹山は半目でモモを見る…やはりモモの顔は 今から敵陣に乗り込むような険しい表情だった。意を決したように顔をバッと竹山に向けるとはっきりとした声で叫ぶ。


『ご主人様っここは危険です!先に教室へ上がって下さい!竹山ごめんご主人様をお願い!』


そう言うと竹山は自分に恋心を抱いている生徒達の方へ走って行った。手には砂やら石やらが握られている…まさかそれで倒すつもりなのか。数秒後、振られた~と泣きながら他の生徒に抱きつくモモのファンの姿が見受けられた。その様を見て竹山が隼人に呟く。


『モモってさ……微妙に…天然だよな』
『微妙にじゃねぇ、ありゃ間違いなく天然だろ』

全員を倒したのかモモが砂だらけになりながら安心しきったように自らの額を拭う。隼人がまだ居たこと…自分の方を見ていた事に気がつくと主人を見つけた犬のように嬉しそうに走って来た。


『ご主人様~』