『ため息ばかり着いてたら幸運が逃げます―っ、あ…そうじゃなくて!刺客とファンですよ!最近沢山の方達がご主人様を狙ってるんだから油断が出来ません!』

『…………………』


ホントにどれだけ鈍いのだろう。俺とモモが一緒に行動するのはほぼ毎日…日常茶飯のようなモンだ。まぁ実際モモが付きまとってるだけなんだが……2人で居る時もいつでも どんな状況の時でも俺らに視線を感じるのも日常茶飯。その殆どの視線は見た目可愛いモモに恋焦がれ告白しようと隠れている人達だと言う事にモモ自身は気がついていない。それどころかそいつらが俺を狙う刺客だとか勘違いし事故を起こす事も多々あるのだ。


『とりあえず今日も一緒に居ましょうね!』

元々面倒くさがりな性分もあるが こんな風に何も考えてない笑顔を向けられると事実を話す気にすらなれない。もう一回言う――どこまで鈍感なんだコイツは。

『……はぁ…』
そう言うやり取りをしていると、いきなり後ろから肩をガシッと包まれるように回された。モモも同じような目に合ったらしく俺と同時に後ろを振り返った。

『オス!モモ!隼人!今登校か?相変わらず仲良いよなー』

気の抜けそうなくらい能天気な声……そんな人物は自分達と接点がある人達の中でただ一人しか知らない。


『竹山!?』
『何だよモモ そんなビックリすんなって傷つくなぁ』


竹山はモモの親友だ。前にモモが不良から絡まれたトコを通りかかった竹山が助けたらしい…いつもは俺が助けてやってたんだが丁度そん時 運悪く俺は居合わせてなかった。だから他のヤツに助けられてたと聞いた時はホッとしたがそれ以来仲良くなりだしたモモ達を見てると何故だか異様に腹が立った。きっと竹山とは根っから馬が合わねぇんだな。この能天気な声も何も考えてなさそうな口調も全てが気に食わない。


『気安く触んじゃねぇ離しやがれ』
『まぁまぁ良いじゃねぇか』
『良くねぇ!』


言い合いになる俺と竹山を目を丸くしてモモが見ている。

『竹山今日 部活じゃないの?』 『おぅ寝坊しちまってな…今日は休んだわ』