昼休みの事だった。まだ入学して数日…いくら友達を作る気満々でも、いきなり庶民の私が金持ち達に馴染めるのは時間の問題で…普通に話したり話しかけたりするのには慣れたけど、一緒に昼ご飯を食べたり一緒にお手洗いに行ったり出来る程の親しい友人はまだ出来ていなかった。今日の弁当の中身はハンバーグ!庶民の見方だ!おいしく食べ終わり弁当箱を片付けながら、次の授業は何だったけっと考えてるうちに後ろから「美緒さん、次の授業は楽典とソルフェージュですわよ。続けて音楽史もありますからどちらも持ってお行きになれば?」と“お嬢さま”に声をかけられた。残念ながら私にはお嬢さま語なんてとてもじゃないが話す事なんて出来ない。うっとりする位の美しい天使の微笑みに返せるのが庶民営業スマイルで申し訳ない。

「あ、ありがとう!確か音楽室はD棟だったよね?」
「えぇ、ここから遠いですわよね。歩いて3分もかかるのですものせめて車で迎えに来て下されば良いのにね…」

は…はい!?今お嬢さま何と!?歩いて3分ってめちゃ近場じゃないでスか…?てか近いも何も学校内だし!!私なんて家からコンビニまで歩いて15分だよ!?てかてか車で迎え…って…いや止めとこ…ここは私が住むとことは別世界なんだ。