「アンタ、鬱陶しいんだよ、ばーか」

あたしの腹部を足で思いっきり蹴って走り去る女の子達。

「ゴホ・・ッ」

あたしは咳き込む。

ランドセルを背負って家路に着く。

「ただいま・・・」

「お姉ちゃん!お帰り♪」

「あら、どうしたの?泥だらけじゃない?」

お母さんと弟の直樹が玄関まで迎えに来る。

「ううん。何でもない。ただ派手に転んじゃっただけ」

「そうならいいけど。奈緒、手早く洗ってらっしゃい。ご飯できてるわよ」

「はーい」

あたしはランドセルを自分の部屋に置いて洗面所に向かう。

その途中、お仏壇に立ち寄る。

「お父さん、ただいま」

お父さんの写真に向かって言う。