「ねえお母さん」
夕食のとき、あおいは懸命な眼差しをお母さんに送った。
「…どうしたのあおい」
「犯人の言う通りに、お金なんか用意しなくたって大丈夫だからね」
「あおい、言ってるじゃない、お金なんかより、お母さんはあおいが誘拐されるのが何よりも怖いのよ」
お母さんは眉を下げて言った。
「うんそれは分かってる」
あおいは首を振った。
「あたしね、色々考えたら、犯人はお金を貰ったって、あたしを誘拐するつもりでいると思うの」
お母さんは目を見開いた。
「なに…」
「心配しないで。藤咲さんがいるし、この前、犯人じゃないかって人が浮かんだの。もしかしたら上手くいって 捕まえられる。警備員さん達にも言っておくつもり」
「あおい……」
お母さんは眉を寄せる。
「あおい、あなた、少し変わったわね」
「え?」
きょとんとした。
お母さんは、頬を緩ませた。
「いいわ。あおいを信じる。だけど、何かあったら言うのよ」

