藤咲さんは、電話を掛けた。 フランス語で何かを話す。 しばらくして電話を切った。 「あおい様、これは松永のケータイに繋がっていません。松永が前勤めていたお屋敷の電話です」 「えっ?」 あたしは目を丸くした。 どういうこと? と、あたし達の突然背後から声がした。 「まぬけだなあ、おまえら」 あたしと藤咲さんは、いっせいに振り向いた。 「………松永!」 「松永さん!?」 立っていた。 あの男が、立っていた。